ぼくのサイトでは新車・新区分といった速報記事コンテンツを重視しており、Twitter(現X)でもそれらのツイートは多くの反響をいただいています。
これは伸びるだろうという話題に照準を定めて何度も擦って取り上げる一方で、好きな路線・車両であっても戦略的に触れない時もあるなどクセのある戦い方をして運営しているぼくのサイトにおいて、速報性記事と関連ツイートの伸び具合から、どういった話題の反響が大きかったのか、どういった戦略を採ったのか、どんなスケジュールを組んだのかを適当に振り返ってみます。
- 現代の新車は情報戦に
- 主なサイト過去記事を見てみる
- JR東日本 E257系 機器更新車(2019〜2021)
- JR東日本 E261系「サフィール踊り子」(2019/11)
- 東京メトロ17000系・18000系(2020/1,2021/10)
- 相鉄10000系YNB色(2020/9)
- 都営6500形(2020/10)
- GV-E197系(2021/1)
- E493系(2021/2)
- 京急1000形1890番台 (2021/3)
- DEC700形(2021/6)
- 相鉄21000系(2021/6)
- 伊豆急行3000系(2021/7)
- 東急電鉄 増結中間車(2021/9,2021/10)
- 東京メトロ9000系中間車(2021/10)
- 315系(2021/11)
- 東急5050系“Qシート”(2022/6)
- 京成3200形(2024/7)
- 参戦漏れている車両も多数
現代の新車は情報戦に
数年前まで新車・新形式の輸送日程は、交通新聞社発刊の「鉄道ダイヤ情報」誌・エリエイ社発刊の「とれいん」誌が公開していたので、10年前くらいの撮り鉄少年たちはこぞってこれらの輸送を撮影していました。
甲種輸送はJR貨物にとって余裕のある土曜〜月曜に設定されやすい傾向があり、学生さんの被写体としては昔から人気です。
とはいっても、当時は被牽引車より牽引機にばかり注目が集まっており、新車の形態をガッツリ速報してくれるような媒体は、その私鉄を専門的に扱っている個人サイト等に限定されていました。
商業誌への甲種輸送情報非掲載の要望はJR東日本管内を走行する列車を対象として制約が生まれたことが推測できる時期を挟んだのち、2024年現在では完全に非公開情報となっています。
現在はそれらの情報を職場で仕入れられる職業に身を置く、是非はともかくとしてそれらの職員等との人脈を通じて情報を入手する、過去事例と牽引機の送り込み状況などから推測を立てる、情報を勝手に公開している怪しいアカウントに頼る……といった情報戦の様相を呈しています。
ぼくは過去事例からの類推という建前を崩していません。
特にSNS上にも出回らずに運行された業務列車では、撮影時に見回りに来た職員さんから冗談なのか本気で分かっていないのか「どっから情報を仕入れたの(笑)」といった雑談を仕掛けられることが度々ありますが、大人なので建前としてテキトーな回答をしています。
答えから逆算しているだろうとツッコみがきそうですが、この辺の屁理屈を何年も唱えていると真に受けて法則性を崩してくる事業者もなくはないです。
さて、公式では情報が伏せられつつある新車の輸送ですが、やはり新形式の一本目は大きな注目が集まります。
撮り鉄層にとっては「即上げ」に該当するのかもしれませんが、その辺の炎上トラブル対策はクリーンなメディア感を程よく出すことで批判を避けています。
……鍵アカウントの引用RTはサイト・ブログ運営者にとってはご褒美と考えているものの、これは情報解禁時刻を気をつけた方がいいな〜などは直感で決めています。
風の息遣いを感じていれば (?) 炎上は避けられると思います。
主なサイト過去記事を見てみる
新車・新形式の初報を出すというのは弱小メディアの端くれとしてやはり拘っている部分で、ぼくのサイトの根幹です。
当時の取材体制や手応え、伸び予想と結果などを雑に振り返ります。
JR東日本 E257系 機器更新車(2019〜2021)
・サイト (主な記事)
・Twitter (主なツイート)
・YouTube (主な動画)
E257系の改造の動きは、ぼくのサイト立ち上げ期に全力で追っかけた一大コンテンツです。
趣味サイトとしては出てくる度に形態差があった点が他形式では見られなかった特徴で、擦りに擦って記事・動画・SNSを動かしました。
もちろんぼくがE257系を含めた在来線特急が好きという点もありますが、毎回サイトや動画が再生される異端車が登場する改造メニューはやはり異常でした。
狂ったようにE257系の転用工事ばかり扱っていたので、大衆ウケするE257系乗車レポートの記事が長期間に渡り一番読まれている記事となっています。
5両編成の2500番台・5500番台の1本目はそれぞれ秋田まで車で行っていますが、伊豆半島からだと片道12時間くらい車で運転しています。新潟回りでも盛岡回りでも所要時間はあまり変わらないので、村上から秋田までは下道です。
現地に直前到着だと体力が果ててしまうので、関越自動車道がギリギリ深夜割になるようにしつつ、下道は空いている深夜帯に通過、当日早朝に秋田に到着する動線を採るなど行程には工夫を凝らしています。
予定稿を書いておいて写真を入れ、なる早公開というスタイルはE257系とE261系で確立しています。在宅ブロガーに現地撮影組が負けるのは悔しいですからね。
JR東日本 E261系「サフィール踊り子」(2019/11)
・サイト記事
・撮って出し動画
車両としてはイメージ画像が公表済み・実車の輸送行程は非公開だったと記憶しています。
この頃はJR東日本だけ甲種輸送商業誌非掲載希望としていた時期だったはずです。記憶違いあるかも。
1〜3号車が兵庫県の川崎重工を出場した翌朝に4〜8号車が山口県の日立製作所を出場するというトリッキーな輸送体系で、サイトとしては力を入れていた伊豆方面ということで、両形式とも工場拠点で捉える体制を組みました。
この時ばかりは兵庫から滋賀まで追っかけたのち再び西進、山口県から再び追っかけ撮影……というハードスケジュールを強行しました。
列車を追っかけて撮影しながら記事執筆・動画編集・撮影ポイント選定・車の運転をしていましたので大変に疲れたことはよく覚えています。
列車の出発時刻に合わせて現地入りするのではなく、早めに現地入りして工場から出てくる瞬間を捉えた方が絵力があることはサイトの運営に役立つ経験となりました。
日立からの甲種輸送を初日に報じるには山口県から広島県までのエリアで撮影する必要がある・ファン層の居住エリア人口が多い関西〜中京〜関東の方の撮影画像は翌日ですので、ニュースとしての速報性を独占できて大きな反響がありました。
東京メトロ17000系・18000系(2020/1,2021/10)
・サイト記事
・動画
17000系・18000系ともに事前に外観イメージ公表済みでしたが、関東圏ではJR東日本に次いで注目度合いが高いのが東京メトロという認識で期待値は高めでした。
基本的に相互直通運転で運用エリアが広い車両ほど、直通先のファンからも関心を集めますので視聴されやすい体感です。
E261系撮影の経験を活かし、この2列車の撮影では広島で前泊をしています。どちらもPVが伸びる話題だろうと早めにホテルINして街歩きをし、牡蠣とワインを嗜み翌日からの戦に備えてゆっくり休む旅程としています。
17000系では完全に自動車で自走追っかけをしましたが、その時の疲労の溜まり方の反省から18000系では米原まで車で西進・広島まで新幹線で移動し前泊、広島でレンタカーに乗り換え撮影したのち新幹線で戻り米原でもう1泊、マイカーに戻って追っかけながら帰還するスタイルとしました。
このハイブリット方式は身体への負担が少ない代わりに経費がめちゃくちゃ嵩むという欠点があり、当時はYouTubeの撮って出しが意外といい収益を生んでいたので尺があればあるほど経費をペイ出来て良いという判断でしたが、サイト単独では1日目の広島〜山口県の往復だけ済ませて家に帰る行程で良かったのでは?という反省も残りました。
相鉄10000系YNB色(2020/9)
・サイト
相鉄10000系機器更新車の塗色変更は絵としてキャッチーかなと思い現地入りしました。
電車のお顔と色が変わる内容はやはり話題性・インパクトが強いですね。
静岡県の端っこに在住しているぼくとしては、首都圏私鉄のなかでは小田急に次いで居住地からアクセスしやすい路線で、経費の観点から現地入りのハードルが下がります。
都営6500形(2020/10)
・サイト
都営三田線の新型6500形については、先述の東京メトロの2形式とは対照的に、PVへの期待値から近場で撮影するに留める選択をしています。
これは、甲種輸送2日前という直前にイメージではなく実車の画像が公表されていたことと、三田線沿線出身の直感としてそこまでの注目が集まらないだろうという現実性あたりを考慮した選定です。
公表された外観がシンプル過ぎて不評だったこともあります。
GV-E197系(2021/1)
・サイト記事
・動画
PVが望める要素としては事業用気動車の計画は労組資料等から読み取れたものの詳細仕様が全く公表されないまま車両が先に登場したこと・趣味者人口の多いJR東日本の話題であることがあり期待値は高めでした。
一方で、工事列車というジャンル自体が機関車牽引列車をメインで撮影しているコアな趣味者にしか通じない内容で、ライト層には届かないという特徴があり、上振れも下振れもありうる内容で興味津々でした。
ぼくは撮り鉄として絵になる甲種輸送よりサイトとして車両のファーストインプレッションに重きを置いているので、甲種輸送の数日前に行われる陸送に軸足を置きました。
結果としてはチャーミングなお顔立ちと貨車みたいな中間車の絵力が強く、サイト・SNS・動画全てに置いて好感触で、こちらも現地入りして報じる価値はあったかなと感じています。
E493系(2021/2)
・サイト
・動画
GV-E197系の車両登場とともにE493系の計画が公表されており、ニュースバリューとしては劣ると判断。陸送から撮るほどの熱量が湧かず、無難に甲種輸送だけ撮影しています。
記事・動画サムネイルのインパクトとしてもGV-E197系が先に登場している時点で絵として弱く、GV-E197系は陸送を記事にしたから自身のサイトとして絵が変わっていた方がいいかなという視点でしたが、サイトとしては意外とGVに近いPVで健闘・YouTubeとTwitterは競合多数でよわよわでした。
サイト運営としてはもうちょい近場で経費を掛けない方が合理的で、普通に戦略ミスです。
京急1000形1890番台 (2021/3)
・サイト
・記事
総合車両製作所横浜事業所から出場する新製車輸送は、京急電鉄の終電後に実施されるため取り上げ方を悩みます。
SNSの利用者が急減する12時を過ぎた時間帯に出場するため、速報性では夜の方が強い一方で、明るくなってから車両の詳細が分かる神武寺駅付近に留置されている絵の方が大衆ウケする印象です。
例外としては、自走で出場する1号線系統でしょうか。基本的に他社局向けは21時台くらいなので普通に速報性のあるタイミングで出せばいい一方で、京急の新形式となると終電後の時間帯かつ翌朝には車庫の奥の方に収容されているので撮影が難しく、結局出てきた瞬間を捉えるのが強いかなといったところです。
京急の新製車の話題は総合車両製作所からの出場を熱心に追っているファン・京急のファンの熱量が高いので、色々な分野に興味を幅広く取り上げたいぼくとしては京急電鉄の話題は他所さんが詳しいからあまり扱わないスタイルです。
ぼくのサイトは首都圏私鉄全般の記事を比較的満遍なく出している割に京急だけはアンチなんじゃないかってくらい記事数が少ないですが、競合に知識や情報戦で勝てないから戦略として戦いに行かないこととしています。
DEC700形(2021/6)
・サイト
DEC700形は事業用車・直前にリリース公表済みというスタイルで、期待値はやや薄めでした。
後述の通り、2ネタでペイ出来る見込みで現地入りをしています。
サイトもSNSもぼちぼち止まりですが、関西圏の読者層を耕すためにたまには関西のネタものも喰っておく方がいいかなという狙いは果たせたので、現地入りの価値はあったかな〜と思っています。
相鉄21000系(2021/6)
・サイト
・動画
相鉄21000系は外観が20000系とほぼ同一という点でサイトとしては期待値が低く、こちらは前日にDEC700形の甲種輸送があったのでついでに撮影しながら帰ってくるスタイルとしました。
2ネタで関西1往復の経費であれば採算が取れるだろうと参戦したスタイルでしたが、やはり新形式とは思えないほどにあらゆる媒体で数字が伸び悩みました。今後も上手く見極めて動けたらと思います。
伊豆急行3000系(2021/7)
・サイト記事
・動画
JR東日本の209系という誰しもが知っている車両の譲渡が甲種輸送を以て判明するパターンです。
意外性・話題性としてはかなり強いかなと感じました。
最近でいえば211系5000番台の譲渡などもそうですが、やはりJR車の他社譲渡が車両の動きを以て判明する事例が話題性としてはかなり強いのかなという印象です。
伊東が目的地であることを添えなければ初報時点で伊豆急行譲渡と断定出来ないため、特殊貨物検査票を捉えられるかが勝負でした。
一応ぼくのTwitterでは現時点でこの投稿が一番反響があった内容です。
その後の伊豆急行での動きも独占的に報じられること・近場なことをいいことにここぞとばかりに擦っていました。
そこに愛はあるんか?と言われそうですが、夏季の冷房が一番効く車両なので地元利用者としては一番嬉しい車両です。リゾート21の夏場は蒸し風呂なので……。
東急電鉄 増結中間車(2021/9,2021/10)
・サイト
趣味者ウケは良さそうですがライト層には刺さらんし形態差が一番の注目ポイントだろうと夜間帯は切り捨てて、明るい時間帯に専念したパターンです。
5080系中間車には6000系転用車両が面白い形態だったので、小ボケを挟んだツイートが伸びました。
サイト記事的にはシンプルに興味を惹きやすい3000系の方が伸びました。
近い話題でたくさん記事を打つと専門性の高いサイトと認識されるだろうという判断で、この時期は東急・相鉄新横浜線開業に向けて本系統の話題を集中的に取り上げていました。未来思考の話題は基本的に伸びやすいですね。
東京メトロ9000系中間車(2021/10)
・記事
中間車の絵力は弱い理論でこちらも速報性は諦めています。記事の方は好調というのも東急の増結中間車と同じ反響でした。
この投稿に限りませんが、Twitterで縦画像が解禁されてから2:3の画像を2枚掲載するときには縦長4:3の画像にして掲載するスタイルを続けています。
画面占有となってインプレッション的に強いと思うのですが、全く流行りませんね。
315系(2021/11)
・サイト
315系の出場はやはり注目株でした。
深夜帯に出場するタイプながら日付が回る前に出てきたので、Twitterは速報性・記事は朝イチとしています。
サイト運営者としては一番悩まないパターンです。
東急5050系“Qシート”(2022/6)
・記事
当時は大井町線以外の路線へ“Qシート”を連結する構想が示されており、相鉄直通用の4112F〜4115Fの増結車がそれだろうというファン層の予想は事前にあった状況で、側面に全面ラッピングを施すことを見越した車両が登場したことでほぼそうだろうと予測される車両が出場しました。
ぼくのなかのジャーナリズム精神といいますか、論拠を持って東横線に“Qシート”を導入する計画に基づいて新造された車両であることの確定報を出してやろうと車両をくまなく観察し、内装の目隠しがされているがL/C可変座席を搭載している車両であることを報じました。
SNS戦略としては側面の異端さを動画で収めた絵が強いかなと試しましたが、こちらは微妙でした。やはり総車出場は明るくなってからの絵が勝ち筋かなと感じています。
サイト記事の方は“Qシート”車であることを報じられたこともあり好調でした。
京成3200形(2024/7)
・記事
現時点で最新の新車速報的な記事となっています。
京成電鉄と直通先のファンにはブッ刺さる仕様の車両だという期待もあった一方で、夏休みに近い三連休の中日の設定で撮影される方が多い点が懸念でした。
ETCの休日割くらいしか恩恵がありませんので、サイト運営としては平日日中に走ってくれるに越したことはありません。
両端を先頭車として養生されているパターンも想像しましたが、それでも中間にも運転台が挟まっているから先頭車の絵は何らかの形で捉えられるだろうという見込みで現地入りを選択しています。
最近のぼくのサイトは更新をサボり過ぎて今年の4月くらいにGoogleのクロール頻度が下げられてしまいまして(笑) 、公開から2日後である16日にGoogle砲に載る挙動となりました。
サイトとしていよいよオワコン化しつつありますが、自分で蒔いた種なので頑張って更新に力を入れていかねばなりません。
参戦漏れている車両も多数
参戦有無はビジネスライクに交通費をペイ出来るだけの注目があるかで判断しており、戦略的に現地入りをしていないものも多いですが、単純にスケジュール等の都合がつかずに撮り逃しているものも多いです。
世間の関心が高いことが想像されるのにサイトとして扱えなかったもので悔しい思いをした筆頭格は、E235系1000番台と東武鉄道のN100系“SPACIA X”でしょうか。
E131系の番台区分も地方線区向けで大衆ウケはしなかったり、ぼく自身の体力や熱量が減少傾向だったりと現地入りで数字を耕す機会は減少傾向です。
肝心の鉄道事業者が新製車両を抑制している傾向で、鉄道事業者が新形式をバンバン開発出来る活況に戻ることに期待しています。
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